逆転戦略 ウィルコム-「弱み」を「強み」に変える意志の経営

この本は、通信業界の歴史や現在の動向を分析した一書です。
著者は、PHSウィルコム社が通信業界に“逆転”をもたらすのでは、と結論しました。かつて携帯電話はレンタルで、保証金10万円、新規加入料約4万6千円、基本料金が2万円を超えていました。業界で「第一次参入」とよばれる1980年代後半、当時の郵政省は1地域2社という参入数制限がありました。
1992年にドコモが独立しましたが、今のような巨大な市場が見えていたわけではなく、民営化後のNTTから何か分離分割させなければカッコつかない、という政治的な圧力による独立でした。
その後、レンタル制度の廃止で市場が爆発し、iモード、写メール、パケット定額制、おサイフケータイなど、次々と各社で新しいサービスを投入するのは、ここ数年の出来事ですので、まだまだ記憶に新しいところでしょう。
携帯電話会社は、コツコツと基地局の増設、第3世代基地局への移行などに莫大な投資を行っています。
ユーザー離れを起こす一番の原因が、「つながらない」という評判だからです。
他にも、新機種がほとんどタダで手に入るイセンティブモデルは日本独自のものである、とか、電波は有限な資源なのでもうすぐ伝送情報量に限界がやってくる、ということが分かってくると、ちょっとした業界通になった気分になれますよ。さあ、そこで、なぜウィルコム社が通信業界に“逆転”をもたらすのか。
詳しくは本書を読んでいただくとして、ヒントは「限られた電波資源を有効に活用できるのはPHS」ということです。