シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土

IT企業が多く集まるシリコンバレーで仕事をするうちに自分が変わっていくことに気がついた。その変化を手紙という形で日本の雑誌に連載していた著者のエッセイ集。本の内容はテクノロジーというより、シリコンバレーの内側の雰囲気をそこで働く人との接触によって描いたものである。
 著者はコンサルタントとしてシリコンバレーで働くうちにその町がたまらなく好きになり、現地で会社を興した。ネットバブルとよばれた2000年前後を現地で働くことで体験しているので、金融の数値やニュースなどを総合した「外側」からの観察ではない。その情報はネット関係者ではない私にはどうでもいいことに近いのだが、社会が変化していくなかで自分を見つめる著者の姿勢に憧れるものはある。
いろいろな人が集まって価値をつくる事が「大切」なものだという考え方をしてきた。もちろん、その通りではあるのだが、それは組織の傘の下にいないときをさすのであって、集団の中で団子になって生きていくことはないのだ。


筑摩書房 シリコンバレー精神 ─グーグルを生むビジネス風土 / 梅田 望夫 著